特集

ぐるなび

東京都内の“おいしい”探訪記

2017.4.19

「目指したのは大切な客人をもてなすアパルトマン。私の作りたかったレストランの最終形です」  

シェフ ドミニク・ブシェ

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先ほどまで東京・銀座にいたはずが、エレベーターを降りたとたん、パリのアパルトマンにワープしたような気分になる。間接照明に浮かび上がるオフホワイトとグレーが基調のインテリア。踊り子がモチーフの大きな絵画。穏やかな笑顔で出迎えてくれたのは、ドミニク・ブシェ氏本人である。

22歳のときにジョエル・ロブションに認められ、以後40年以上にわたってフランス料理のシェフとして輝かしい実績を残してきたことから、気難しそうなイメージを勝手に想像していた。シェフはアーティストであり職人である。厨房の中にあって眼光鋭く、最上の一皿を仕上げるために全力を注いでいる。決して、このイメージは間違いではない。だが、目の前にいるドミニク氏は、遠方から訪ねてきた友人を笑顔で迎える家主のようだった。

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客席数を絞って行き届いたサービスを

ドミニク氏が東京・銀座5丁目にフレンチレストラン「ドミニク・ブシェ」を開いたのは2013年のこと。開業してからわずか4カ月で、『ミシュランガイド東京』の二つ星に輝く。2015年には店名を「ドミニク・ブシェ・トーキョー」に改め、銀座1丁目に移転し、引き続き二つ星の称号を得た。

移転した理由をドミニク氏はこう説明する。「前の店は地下だったので窓が欲しかったのです。行き届いたサービスができる、風通しのよい空間を意識しました」。

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取材に伺ったのは平日の15時過ぎ。客席ではマダム達がランチの続きを楽しんでいた。薄いレースのカーテン越しに大きな窓から外光が入り、彼女達をやさしく包む。2周年を迎えた「ドミニク・ブシェ・トーキョー」は不思議と敷居の高さを感じさせない。より温かな雰囲気で、利用しやすくなったとも言える。もちろんジャケットの着用など最低限のマナーは必要だ。しかし、これほどくつろいだ気持ちにさせてくれる名店というのは珍しい。

「フランスではお客様は王様という言葉があります。つまりマダム達はお姫様なのです」とドミニク氏は笑顔で語る。

かつてパリの高級ホテル「ホテル・ド・クリヨン」のレストランを任せられた経験から、おもてなしの気持ちを大切にしてきたという。ドミニク氏の豊かな経験から導き出された、料理、空間、おもてなしのバランス感覚を、体現したレストランだからこそ感じることができる“極上の居心地のよさ”。

「作りたかったレストランの最終形」と本人の言葉を聞けば、すぐにでも足を運びたくなるではないか。

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踊り子の絵が描かれたリモージュ製の皿。絵画と踊り子が呼応して、キッチンのライブ感を届けている
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客席からレンガの壁で区切られた一室がワインカーヴとなっており、アペリティフやコースのデザートをこちらでいただくこともできる。ワイン好きのカップルのプロポーズの場として使用されたエピソードも

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