特集

ぐるなび

わざわざ出かけたい国内グルメ旅

2017.8.9

「温度、香り、旨み、鮮度の4つがそろって料理の哲学が完成するのです」

サローネ ドゥエミッレセッテ シェフ 細田健太郎・永島義国

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

高級食材の一つであるトリュフは珍しい存在ではなくなりつつある。日本酒を中心に飲ませる居酒屋で、卵かけ御飯の上に、その場でスライスして提供するメニューがある。また、ヒレステーキにフォワグラとトリュフを添えたロッシーニを、1,000円台の廉価で提供するレストランもある。10年ほど前に比べると、明らかにありがたみが薄れている。

しかし、本当に価値のあるトリュフの香りは、多くの人の想像を超えている。鮮度が高く、溶岩のように盛り上がった粒の輪郭がはっきりとしたものは、最初の1枚を薄くスライスするだけで、少し湿った土に似た香りが部屋中に広がる。

本場のヨーロッパでも、中国産のイボセイヨウショウロを代用として使う店が増えていて、ここまでのトリュフを体験する機会は少ない。だが、横浜にある「サローネ2007(ドゥエミッレセッテ)」では、イタリア・マルケ産のトリュフを使ったメニューを提供している。冷凍ではなく、賞味期間が1週間ほどの冷蔵物で、筋肉質の男性の上半身を想像させる力強さを持った塊だ。スライスの瞬間、そこから立ち上る香りで、森の中にいるような気分になる。すぐにあのトリュフ特有の芳香が鼻腔をくすぐり、食欲のスイッチが入る。

高級感のあるインテリア

みなとみらい線の元町・中華街駅を山下公園方面に出てすぐ、バーニーズニューヨークの地下にサローネ2007は位置する。港の香りを感じながら、階段をゆっくり降りて行くと、「SALONE2007」の金文字が光る大きな扉が出迎える。エントランスもゆったりとしており、「いらっしゃいませ」の合唱に背筋が伸びる。

写真

左右にテーブルを配置して、中央に広めの空間を残したダイニングルームは、自分が出演者となって舞台に導かれたような興奮に満ちている。ダウンライトと壁の間接照明、テーブルライトが織りなす光が美しい。テーブルクロスはペイズリー柄のジャカード織りで、聞けば特注品とのこと。食事をする前から、高級な店に入ったことを否が応でも意識させられる。

写真

来客の8割がトリュフを追加注文

テーブルの上に置かれたしっかりとした封筒の中にメニューが入っている。10品からなるコースメニューは1万4,256円(税・サ込、以下同)と、イタリアンレストランとしては高く感じる向きもあるだろうが、使っている食材やインテリアからすれば納得だ。

写真

さらにワイン7種を合わせたペアリングがあり、食事代込みの「フル」で2万9,818円となっている。ワインの量を控えめにした「ハーフ」ならば2万3,641円と手頃だ。このコースに2,000円を追加すれば、その中の2品にサマートリュフがトッピングされる。8月末までのシーズン限定ということもあり、来客の8割がトリュフの追加をオーダーするという人気ぶりだ。

写真

インパクトが強いアミューズ

まだ緊張がほぐれない中、アミューズが運ばれてくる。あらためてメニューを確認すれば、「Inzio/序章」とあり、続いて「A5サーロイン・メークイン・トリュフ」と食材が列記してあるだけだ。「どのように調理したかをあえて書かないことで、どんなものが運ばれて来るのだろうというワクワク感を持ってもらえれば」とシェフの永島義国氏が意図を説明する。この店はダブルシェフ体制を敷いていて、手間のかかった料理をベストのタイミングで提供することを実現している。

写真

きらきらと輝く食器の上に、同じく金属製の串に肉を丸めたものが刺さっている。横から見えるのがメークインつまりジャガイモらしい。うやうやしく取り上げ、ひと口で頬張る。柔らかい肉は、歯ごたえとは逆にしっかりとした旨みを持っていて、口の中でトリュフの香りをまとったジャガイモと合わさり、一瞬、量を増す。そう思った瞬間、すべての食材が形を失っていき、気がついたときは消えてしまう。名残惜しい。

ジャガイモはローストしたものではなく、フードプロセッサーで粘り気を持たせるまで細かくした後、真空パックして90℃で調理したものだ。肉の厚さ、切り方、ジャガイモとの分量のバランスが絶妙だからこその味わいである。その大きさからは想像できないインパクトを持っており、これから始まるコースに大きな期待を持たせる。「このアミューズが食べたくてと、お越しになるお客さんも多いんですよ」と細田氏が笑顔を見せた。

続きをご覧いただくにはログイン(会員登録/有料)が必要です。

クラブミシュランのサービス詳細はこちら

あわせて読みたい関連記事

    もっと見る

    特集まとめ