特集

ぐるなび

東京都内の“おいしい”探訪記

2017.11.17

「私の考えるレストランの料理とは、まず味。そして、フレッシュで高いクオリティを持つ素材を使い、新しいコンビネーションや食感、テクスチャを楽しめることです」

小笠原伯爵邸 料理長 ゴンサロ・アルバレス

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ただおいしいだけの料理を食べに行くというなら、日本にはおびただしい数の店があり、そのレベルの高さは、クラブミシュラン読者のみなさんなら知るところだろう。例えば、ビストロノミーと呼ばれる、ビストロのカジュアルさと高級レストランの味が融合した店。少なくとも味だけなら、これらでも十分に満足行くものを提供してくれる。

けれども、レストランは皿の上に乗ったものを食べに行くだけの「うまいもの屋」ではない。料理、サービス、設え、そして空気感。全てが揃った店での食体験は、人生をひとつ豊かにしてくれる。そして、そこにかけられた時間や労力などを考えると、日本のレストランのクオリティの高さには感嘆する。もちろん、そんなハイグレードな店に毎日のように通うことが出来る人は限られるだろうが、例えば、クリスマスなど、特別な一日には特別なレストランで特別な時間を過ごすのもいいだろう。

たとえば、この「小笠原伯爵邸」には特別な日にふさわしい味とサービス、そして空間がある。旧小倉藩藩主で、伯爵であった小笠原長幹がその邸宅として1927(昭和2)年に建てた、当時流行のスパニッシュ様式の館。この場所で、2002年からヌォーバ・コシーナ(新しいスペイン料理)レストランとして、多くのグルマンから愛されている店だ。

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シェフのゴンサロ・アルバレス氏1978年の生まれで、バルセロナで料理を学んだ。いまはなき「L'Esguard(レスグアルド)」をはじめ、「Neichel(ネイチェル)」や「Mugaritz(ムガリッツ)」で修業。たとえば「レスグアルド」ではシェフが脳神経外科医であったため脳はどこでうまみを感じるかということまで考えていたし、「ネイチェル」や「ムガリッツ」にしても、ただおいしいと感じるだけの料理にはとどまらず、テクスチャや温度などを自在に操り、さまざまな組み合わせで見たこともないような料理を生み出してきた。

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その後、2008年に来日。この「小笠原伯爵邸」のスーシェフを経て、2009年から料理長を務めている。彼の料理のインスピレーションは、毎朝のランニングから湧き上がる。それは2005年に初来日したときに遡る。京都や東京がもつ文化、そして旬の大切さを知った。桜の季節には桜の塩漬けを乾燥してパウダーにしたものを料理に添え、新緑の季節には緑のガスパチョを。日本各地の食材を、「旬」、「初物」までを意識しながら使うというその理解度は、もはや日本人より深いのではないだろうか。

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とはいえ、目の前に表れる皿は、どれも紛うことなきスペイン料理だ。サフランやシェリー、スペインならではのピメントンチョリセロ、庭に実るオリーヴやハーブ、そしてイベリコ豚。それらの素材がスペインの香りを運んでくる。アルバレス氏の特徴は、酸味や香りを効かせた料理だ。そして、塩や脂が強すぎないクリアな味わいである。

例えば、得意なホタテは、ここまでの甘さがあるのかと驚愕するレベルであり、イベリコ豚もじっくりと余計な脂を落として焼き上げることで肉のうま味を増している。シェフ自身も砂糖を極力控えるようにするなど素材の味を見極めるセンシビリティを磨いているのだという。

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